うちは人が採れない。そう感じてはいても、根拠は何ですか、と聞かれると言葉に詰まる。多くの社長がこの状態です。感覚だけで「不景気だから」「うちみたいな会社には来ない」と決めつけると、打つ手もぼやけます。まず、外の数字を見るところから始めましょう。
有効求人倍率は、求職者一人あたり何件の求人があるかを示す数字です。厚生労働省が毎月公表していて、1を超えていれば求人のほうが多い、つまり採る側にとって厳しい状況を意味します。近年は全国でおおむね1.2倍前後。地域や職種によってはもっと高く、人の取り合いが起きています。この数字を知っていれば、採れないのは自社だけの問題ではなく、市場全体が厳しいことが見えてきます。
採用の話になると、入ってくる人ばかりに目が向きます。けれど、辞める人の数も同じくらい大事です。厚生労働省の雇用動向調査によると、全国の離職率は近年おおむね15%前後で推移しています。採っても同じだけ抜けていけば、いつまでも人手は足りません。自社の離職率を出し、世の中の平均と比べてみると、力を入れるべきが採用なのか定着なのかが見えてきます。
外の数字は、自社の数字と並べて初めて使えます。たとえば市場の求人倍率が1.2倍なのに、自社には半年で2人しか応募がない。それなら募集の出し方そのものに原因がありそうです。離職率が世間の平均より明らかに高ければ、入り口より出口を先に直すべきだと判断できます。数字は、勘で語っていた課題を、誰にでも説明できる形に変えてくれます。
公的な統計は情報量が多く、どこを見ればいいか迷います。発表資料の文章をAIに渡して「中小企業の採用にとって大事な点を三つにまとめて」と頼めば、要点を短く整理してくれます。さらに自社の応募数や離職率を伝えて「この状況で次に手をつけるべきは何か」と相談すれば、考えるたたき台になります。数字を見るのは難しい、で止めずに、道具を使ってでも一度向き合ってみる。それだけで採用計画の精度は上がります。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72811.html
出典:厚生労働省「雇用動向調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1.html
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