給料も悪くない。休みもそれなりにある。それなのに人が辞めていく。そんなとき見落とされがちなのが、「この会社で何のために働くのか」が社員に伝わっていない、という問題です。
人は、条件だけで働き続けるわけではありません。自分の仕事に意味を感じられないと、心が離れていきます。とくに若い世代ほど、その傾向が強いと言われます。
人が会社を辞める理由はさまざまですが、給与や労働条件だけでなく、仕事の内容や職場への思いも大きく関わっています。働く意味が見えない職場は、ほかにいい条件があれば、簡単に人を手放してしまいます。
出典:厚生労働省「雇用動向調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1.html
経営理念というと、額に入った立派な文章を思い浮かべるかもしれません。でも本当に必要なのは、社長自身の言葉で「うちは何のために、誰のためにこの仕事をしているのか」をはっきり言えることです。きれいごとでなくていい。「地元の人が安心して頼める店でありたい」。そんな素朴な一言が、働く理由のもとになります。
理念づくりでよくある失敗が、どこかで見たような言葉を並べてしまうことです。借り物の言葉は、社員にも見抜かれます。出発点は、社長が事業を始めたときの思いや、うれしかった出来事です。AIに「自分の話したこの内容を、社員に伝わる短い言葉にして」と頼めば、思いを整理する手伝いになります。あくまで芯は、自分の本音に置いてください。
理念は、朝礼で一度読んで終わり、では浸透しません。日々の判断のなかで「これはうちの考え方に合うか」と問いかけ続けることで、はじめて社員の中に根づきます。お客さんへの対応で迷ったとき、新しいことを始めるとき。そのつど理念に立ち返る。社長がそれを実際にやって見せることが、何よりの浸透策です。
何のために働くかが共有されている会社では、社員は指示待ちでなく自分で考えて動くようになります。多少しんどいときも、踏ん張りがききます。そして、その姿はお客さんにも伝わります。理念は、人を引き留めるためだけのものではありません。会社全体の足腰を強くするものです。まずは社長が、自分の言葉で語るところから始めてみてください。
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