優秀な社員が、育児や介護を理由に辞めていく。中小企業にとって、これは大きな損失です。代わりの人を採るのは簡単ではありません。働き方に少し幅を持たせるだけで、その人に働き続けてもらえることがあります。両立を支える職場は、結果として人を手放さずに済みます。
総務省の調査では、介護や看護を理由に直近一年間で仕事を辞めた人は10.6万人にのぼります。育児を理由とした離職も少なくありません。本人が辞めたくて辞めるわけではなく、両立できない職場の事情で離れていく場合が多いのです。
総務省統計局「令和4年就業構造基本調査結果」https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/index.html
立派な制度をつくる前に、まず事情を打ち明けやすい雰囲気を整えることが先です。介護や育児を抱えていることを言い出せず、限界がきて急に辞める。これがいちばん避けたい形です。上司が定期的に状況を聞き、使える休みや時短の選択肢を一緒に考える。それだけで辞めずに済む人がいます。
誰かが時短や休みに入ると、その人の仕事が宙に浮きます。日々の業務を書き出して整理し、誰が何を引き継ぐのかをAIにまとめさせると、抜けや偏りを防げます。マニュアルの下書きもAIに作らせておけば、急な休みにも慌てずに回せます。一人に仕事が貼りついた状態をほどいておくことが、両立支援の土台になります。
両立支援で忘れてはいけないのが、穴を埋める側の社員です。誰かの分まで仕事を引き受ける人に負担が偏ると、その人が次に辞めかねません。仕事を一人に寄せず、チームで分ける。手伝ってくれた人にも、きちんと感謝し、評価で報いる。こうした配りが、支援を長続きさせます。また、時短や休職から元の働き方に戻りやすい道を用意しておくことも大切です。戻る場所があると分かれば、本人は安心して制度を使えますし、復帰したときにも力を発揮しやすくなります。誰か一人のための特別扱いではなく、全員がいつか使えるものとして整える。その姿勢が、職場全体の安心につながります。
両立支援は、いまその制度を使う人だけでなく、これから家庭の事情を抱えるかもしれないすべての社員に向けた安心材料です。長く働ける会社だという評判は、採用の場面でも大きな強みになります。
両立支援は、特別な人のための制度ではありません。誰もがいつか直面することです。働き方に幅のある会社だと知られれば、採用の場面でも選ばれやすくなります。今いる人を手放さない工夫が、人手不足のなかで効いてきます。
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