副業を認めると、社員が片手間になるのではないか。そう心配して禁止している会社は多いです。ところが実際には、副業を認める会社のほうが人は辞めにくくなります。給料をすぐには上げられない中小企業にとって、副業を認めることは、お金をかけずに社員を引き留める手になります。
厚生労働省は副業や兼業を後押しする方針を示していて、ガイドラインも出しています。国が示すモデル就業規則でも、勤務時間外に他社の仕事に従事できる、という形に変わりました。流れは禁止から容認へ動いています。会社の信用を損なう、本業に支障が出る、秘密が漏れる、といった場合を除けば、勤務時間外をどう使うかは基本的に本人の自由だと整理されています。
厚生労働省「副業・兼業」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
給料に満足できない社員は、もっと払う会社を探します。けれど、今の職場が好きで辞めたくない人も多い。そういう人にとって、副業で収入を補えるなら、わざわざ転職する理由は減ります。逆に副業を全面禁止にすると、収入を増やしたい人は転職という形でしか動けなくなります。禁止が、かえって退職の引き金になるのです。
副業で得た経験が、本業に返ってくることもあります。外の現場で身につけた知識や人脈は、自社では学べないものです。正社員を増やせないなら外部人材という選択肢があるように、社員自身が外で力をつけてくれるのも、会社にとってプラスになります。
無条件で認めるのではなく、最低限のルールは要ります。長時間労働で本業に支障が出ないよう、副業の状況を申告してもらう。会社の秘密を扱う仕事や、同業他社での競合になる仕事は避けてもらう。健康を守るため、働きすぎていないか目を配る。この三つを決めておけば、多くのトラブルは防げます。申告の書式は、厚生労働省のガイドラインに様式例があるので、それを下敷きにすれば早いです。就業規則に副業を認める条文を一つ加え、申告のやり方を社員に伝える。これだけで、隠れて副業をしてあとで揉めるという事態も避けられます。
副業を認めることは、社員を信じることでもあります。縛って引き留めるのではなく、外に目を向ける自由を与えたうえで、それでもここで働きたいと思ってもらう。そう考えると、副業の容認は人が辞めにくい職場づくりの一つになります。まずは自社の就業規則を見直すところから始めてみてください。
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