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定着戦略

言いたいことが言える職場は辞めにくい。心理的安全性の作り方

会議で誰も発言しない。ミスを隠す。気づいたことがあっても言い出せない。こうした職場は、表向き静かでも、中で人の気持ちが離れていきます。反対のことを言っても、失敗を打ち明けても、頭ごなしに責められない。そう思える職場ほど、人は長く働きます。鍵になるのが、心理的安全性という考え方です。

これは、職場で自分の意見やミスを安心して口にできる状態を指します。グーグルが自社のチームを大規模に調べた研究で、成果の高いチームに共通していたのが、この心理的安全性の高さでした。仲が良いことやお互いに気をつかうこととは違います。遠慮なく本音を出し合えるかどうか、です。

Google re:Work「効果的なチームとは何か」https://rework.withgoogle.com/

辞める理由の多くは、言えなかったこと

厚生労働省の雇用動向調査でも、職場の人間関係や労働条件は、仕事を辞める理由の上位に並びます。人間関係でつまずく裏側には、不満や困りごとを言い出せないまま抱え込んだ末に限界が来る、という流れがよくあります。退職届を出したときには、もう気持ちは戻りません。言える職場であれば、その手前で手を打てたはずです。

厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf

社長の小さな反応で職場は変わる

心理的安全性は、制度ではなく日々の反応で決まります。社員が問題を報告したとき、最初に責めるのか、まず「教えてくれてありがとう」と返すのか。たった一言の違いで、次に言うかどうかが変わります。ミスの報告を叱責で迎える職場では、人は黙ることを覚えます。原因を一緒に考える職場では、悪い情報ほど早く上がってきます。

社長やリーダーが自分の失敗を先に話すのも効きます。上の人が弱みを見せると、部下も安心して本音を出せます。会議で意見を求めるときも、いきなり全員に振るのではなく、まず若手に発言の場を回すと、声の小さい人の考えが表に出てきます。定期的な一対一の面談を続ける仕組みがあれば、面と向かって言いにくいことも拾えます。評価面談だけでは足りない部分を、こうした対話が埋めます。

言いたいことが言える職場は、空気をよくするだけではありません。問題が早く見つかり、改善が進み、人が辞めにくくなります。お金をかけずに今日から始められて、効果が長く続く。心理的安全性は、人手不足の会社こそ取り組む価値のある土台です。

代表 喜連川慎也
喜連川 慎也(きれがわ しんや)
中小企業診断士 / 認定経営革新等支援機関
飲食チェーンで人手不足の店舗を10回立て直し、社内30店舗・社外40社以上の人手不足支援に携わってきました。AIと採用・定着の両面から、御社に最適な打ち手を提案します。代表プロフィールを見る →

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