採用した人がすぐ辞める会社へ|中小企業の離職を防ぐ職場づくり
採用した人がすぐ辞めてしまうなら、新しく採る前に、今いる人が辞めない理由を増やすほうが先です。
厚生労働省の調査では、大学を卒業して就職した人の約3割(33.8%)が、3年以内に会社を辞めています。しかも、事業所の規模が小さいほど、離職率は高くなる傾向があります。採用に苦労する中小企業ほど、せっかく入った人に辞められると痛手が大きい。だからこそ、辞めさせない工夫が効いてきます。辞める理由の多くは、給料そのものより、入ったあとの環境にあります。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
原因1:入社後のフォローがない
初日に一通り説明したら、あとは現場任せ。これが、早期離職のいちばん多いパターンです。入ったばかりの人は、誰に何を聞いていいか分からず、それだけで気を消耗します。質問するたびに相手の手を止めるのが申し訳なくて、分からないまま抱え込むこともあります。最初の数週間だけでも、「困ったらこの人に聞けばいい」という相手を一人決めておく。これだけで、新人の不安はかなり減ります。
原因2:教え方が人によってバラバラ
教える先輩によって言うことが違うと、新人は何が正しいのか分からなくなります。Aさんのやり方でやったらBさんに直され、どちらに従えばいいのか迷う。これが続くと、自信をなくしていきます。よく使う作業の手順を、簡単な文書や短い動画にしておく。すると、誰が教えても一定の水準まで育てられ、新人も迷わなくなります。
原因3:相談できる相手がいない
不満や迷いは、口に出せないまま溜まっていきます。そしてある日、突然「辞めます」に変わります。社長からすると「何の前触れもなく」と感じますが、本人の中では前から決まっていたことが多いです。月に一度でいいので、短い面談の時間を作ってください。仕事の話でなくても構いません。話せる場があるだけで、辞める前の小さなサインに気づけるようになります。
もう一つ大切なのが、辞めた人がいたときに、できる範囲で理由を聞いておくことです。本当の理由は言いにくいものですが、何人か分が集まると、共通点が見えてきます。同じ時期に辞める、同じ部署で辞める、同じ作業を任せたあとに辞める、といった偏りです。その共通点こそ、次に直すべき場所を教えてくれます。
ここまでの三つは、お金をかけずに今日から始められることです。一人辞めて、また募集して、また一から教える。その手間と費用を思えば、今いる人が辞めない仕組みを作るほうが、ずっと安くつきます。


