仕事の中身には不満がないのに、通勤がつらくて辞める。意外と多い退職理由です。給料や仕事内容ばかりに目が向きがちですが、毎日の通いやすさも定着を左右します。会社にできる工夫を考えます。
片道一時間の通勤は、往復で二時間。一日のうち、それだけの時間が移動に消えます。電車の乗り換えが多い、バスの本数が少ない、車通勤で渋滞にはまる。こうした負担が毎日続くと、じわじわと疲れがたまります。家庭の事情が変わったり、より近い職場が見つかったりすると、それが退職のきっかけになります。本人は「仕事は好きだったけど」と言い残して去っていく。会社にとっては惜しい話です。
通勤の負担を完全になくすのは難しくても、和らげる手はあります。通勤手当を見直したり、車通勤の人に駐車場を用意したりするだけで、続けやすさは変わります。交通の便が悪い場所にある会社なら、最寄り駅からの送迎を考えてもよいでしょう。費用はかかりますが、一人採用し直すコストと比べれば、定着につながるほうが結果として安くつくことも多いものです。求人を出すときに通勤手当の条件をはっきり示しておくと、応募者にとっても通いやすさが伝わり、選ばれやすくなります。お金の支援だけでなく、通いやすさへの配慮そのものが、会社の姿勢として好意的に受け止められます。
通勤ラッシュを避けられるよう始業時間に幅を持たせる、混む時間をずらして出社できるようにする。こうした時差出勤も、負担を減らす工夫です。仕事の内容によっては、週に何日かを在宅にすれば、その日は通勤そのものがなくなります。すべての会社でできるわけではありませんが、できる範囲で柔軟さを持たせると、遠方に住む人にも働き続けてもらいやすくなります。採用の幅も広がります。
通勤の負担は、本人が言い出しにくい退職理由でもあります。「家庭の都合で」とだけ聞いて済ませると、本当の原因が見えません。辞めた人に差し支えない範囲で理由を聞いておくと、通勤が隠れた要因になっていないか気づけます。同じ理由で次の人も辞めるのを防げます。採用のときも、応募者がどこから通うことになるかを早めに確認し、無理のない範囲かどうかを一緒に考えておくと、入社後のミスマッチを減らせます。まずは、自社の社員がどれくらいの時間をかけて通っているか、把握するところから始めてみてください。負担が大きい人がいれば、何か手を打てないか考えるきっかけになります。
出典:厚生労働省「雇用動向調査(転職入職者が前職を辞めた理由)」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1.html
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