毎日同じ仕事を繰り返すうちに、この会社にいても自分は成長できないと感じてしまう。これは、給料への不満とは別の、静かな退職理由です。社員のスキルアップを会社が後押しすると、本人のやる気と会社への定着の両方が変わってきます。
人が会社を辞める理由はお金だけではありません。この先もここで成長できそうにない、という感覚は、優秀な人ほど強く持ちます。日々の業務に追われ、新しいことを学ぶ機会がないまま数年が過ぎると、自分の市場価値が上がっていないことに気づき、外に目が向きます。逆に、会社が学びの機会を用意してくれていると感じられれば、ここで続けようという気持ちが芽生えます。資格取得の支援は、その分かりやすい形のひとつです。とくに二十代から三十代の働き盛りは、ここで何を身につけられるかを冷静に見ています。
業務に関わる資格を取れば、本人の自信になり、できる仕事の幅も広がります。会社にとっても、有資格者が増えれば対応できる業務が増え、属人化の解消にもつながります。支援の形はさまざまです。受験費用を会社が負担する、合格したら一時金や資格手当を出す、勉強の時間を勤務時間として認める。どれも、社員の成長を会社が応援しているという姿勢を示すことになります。手当のように毎月続く形にすると、取った後も続けて働く理由になります。資格という形に残るので、本人にとっても努力した証になります。
資格取得や研修の費用は、国の助成金で一部をまかなえる場合があります。たとえば人材開発支援助成金は、職務に関連する訓練を社員に受けさせた事業主に対し、費用や訓練中の賃金の一部を助成する制度です。自社だけで全額を負担しなくてよいので、支援を始めるハードルが下がります。どの訓練が対象になるかは要件があるため、計画の段階で労働局やハローワークに確認しておくと、後で慌てずに済みます。自己負担が減れば、社員に学んでもらう機会を増やしやすくなります。
支援制度を作るだけでなく、どんな資格やスキルを身につけると会社でどう評価されるのか、その道筋を示すことが大切です。目標が見えれば、社員は前向きに学べます。まずは、自社の仕事に役立つ資格を書き出し、そのうち会社として応援できるものを決めるところから始めてみてください。制度の詳細は厚生労働省の案内で確認できます。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
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