取引先から契約書が届いた。中身は固い言葉が並び、読むのに骨が折れる。忙しさにまぎれて、つい流し読みでハンコを押していませんか。後から不利な条件に気づいても、署名した後では取り返しがつきません。
契約書の怖いところは、問題が起きて初めて条文の意味を知ることです。支払いの期日、契約を途中でやめるときの条件、トラブルが起きたときの責任の取り方。こうした条項は、ふだんは読み飛ばしても困りませんが、いざというときに会社を守りもすれば、追い込みもします。だからこそ、署名の前に一度きちんと目を通すことが欠かせません。
長い契約書をいきなり全部読むのは大変です。そこで、契約書の文章をAIに渡し「この契約で自社が負う義務と、不利になりそうな点を箇条書きにして」と頼みます。すると、注意して読むべき箇所が浮かび上がります。専門用語の意味を尋ねたり、分かりにくい条文を平易な言葉で言い換えてもらったりもできます。「相手だけが途中で解約できる内容になっていないか」「支払いが遅れたときの取り決めはどうか」といった観点で確認させることもできます。全文を均等に読む時間を、危ない箇所に集中させられます。
ただし、AIの答えをそのまま信じるのは危険です。AIはもっともらしい誤りを返すことがあり、契約の最終的な良し悪しを判断する立場にはありません。AIに整理させるのは、あくまで見落としを減らし、論点を洗い出すまで。重要な契約や、判断に迷う条項は、弁護士や専門家に確認するのが鉄則です。取引先名や金額など、外に出したくない情報が含まれる場合は、入力した内容が学習に使われない設定のサービスを選ぶなど、扱いにも気をつけましょう。条文の正確な意味を確かめたいときは、法令そのものを国のデータベースで調べることもできます。
AIは、自社が出す側の契約書を整えるのにも役立ちます。よく使う注文書や業務委託の契約について、盛り込むべき項目をAIに挙げてもらい、抜けがないか確かめる。一度たたき台を作っておけば、毎回ゼロから考えずにすみます。もちろん、ひな型も最初は専門家に見てもらうのが安心です。読むのに時間がかかっていた契約書を、要点をつかんでから判断する。その入り口にAIを使ってみてください。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)https://laws.e-gov.go.jp/
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