「あの書類、どのフォルダだっけ」「前に似た案件があったはずだけど、どこに残っているか分からない」。社内の情報を探すだけで、毎日のように時間が消えていく。そんな会社が、AIに社内の文書を読ませて、質問に答えてもらう方法を考えます。
規程、マニュアル、過去の見積もり、取引先とのやり取り。会社には日々、たくさんの文書がたまっていきます。ところが、いざ必要になったときに「どこにあるか分からない」となり、フォルダを開けては閉じ、結局あの人に聞く。この「探す時間」は一回あたりは数分でも、人数と回数を掛け合わせると、会社全体ではかなりの時間になります。情報労働に関する調査では、働く人が必要な情報を探すことに少なくない時間を使っているとされ、ここを減らせれば本来の仕事に回せる時間が増えます。
最近の生成AIには、自社の文書を読み込ませておき、それをもとに質問に答えさせる使い方があります。たとえば就業規則をまとめて読ませておけば、「有給は入社何か月から取れる?」と聞くだけで、該当箇所を探して答えてくれます。過去の議事録やマニュアルを入れておけば、「この作業の手順は?」と聞いて確認できます。フォルダを一つひとつ開いて目で探すのではなく、人に質問するように尋ねれば答えが返ってくる。これが社内文書のAI活用の基本的な形です。
いきなり全社の文書を入れようとすると、準備だけで大変です。まずは「同じ質問が繰り返し来るもの」から始めるのがおすすめです。社内ルール、経費精算のやり方、よくある業務手順など、新人やほかの部署から何度も聞かれる内容をまとめてAIに読ませておく。それだけで、ベテランや総務に集中していた質問対応の負担が軽くなります。小さく始めて、役に立つと分かってから範囲を広げれば、無理なく定着します。
社内文書には、外に出せない情報も含まれます。どのツールを使うか、どの文書まで読ませてよいか、誰が管理するかを、最初に決めておくことが大切です。AIの業務利用にあたっては、情報の取り扱いについて社内で方針を持つことが望ましいとされています。便利さだけで進めず、安全に使える形を整えてから広げる。そうすれば、安心して長く使える仕組みになります。まずは、社内で繰り返し聞かれている質問を書き出すところから始めてみてください。
出典:総務省「令和5年版 情報通信白書」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r05.html
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