AIで業務を減らしたいなら、毎日のように発生していて、やり方がほぼ決まっている事務作業から手をつけてください。請求書づくり、問い合わせ対応、各種の記録。この3つは、多くの会社で同じように時間を奪っていて、しかもAIと相性がいい仕事です。
なぜこの3つなのか。理由はシンプルで、どれも判断がほとんど要らないからです。AIが得意なのは、決まった手順を速く正確に繰り返すことです。逆に、相手の事情をくんで条件を変えるような仕事は、まだ人がやったほうが早くて確実です。だから、手順が決まっていて頻度が高い作業ほど、自動化の効果が大きく出ます。最初にここを選べば、少ない手間で大きく時間が空きます。
ひとつめ、請求書や見積書の作成
受注のデータさえあれば、そこから請求書を組み立てる作業は、ほぼ自動にできます。ある製造業の会社では、毎月の請求書づくりに社長の奥さんが20時間以上かけていました。一件ずつ金額を入力し、宛名を直し、印刷して封入する。月末はこれで何日もつぶれていたそうです。受注データから請求書を自動で作る仕組みに変えたところ、作業は月3時間まで減りました。入力の打ち間違いもなくなり、二重チェックの手間も消えました。毎月決まった形式で出すものほど、効果が出ます。
ふたつめ、問い合わせメールの一次対応
届く問い合わせを一週間ぶん並べてみると、聞かれていることが数パターンに偏っているのに気づきます。営業時間、料金の目安、対応エリア。こうした答えの決まった質問が、全体の半分以上を占めることも珍しくありません。ここをAIに任せます。よくある質問への返信文をAIに下書きさせ、人は内容を確かめて送るだけにする。これだけで、返信までの時間が数時間から数分に縮みます。ある不動産会社では、一日4時間かかっていた返信業務が30分になり、空いた時間を物件の仕入れに回せるようになりました。
みっつめ、日報や議事録などの記録
日報、議事録、報告書。こうした文章は、ゼロから書くと時間がかかりますが、元になる情報があれば下書きはAIが作れます。打ち合わせの音声を渡せば要点をまとめた議事録の案が出ますし、その日の作業内容を箇条書きで入れれば、整った日報の形にしてくれます。人がやるのは、出てきた文章に目を通して直すところだけ。白紙から書くのと、できた文章を直すのとでは、かかる時間がまるで違います。書くことそのものが苦手な人ほど、この効果を実感します。
3つに共通するのは、どれも頭を使う仕事ではなく、手を動かす仕事だという点です。考えて判断する部分は人が持ち、決まった手順を繰り返す部分はAIが引き受ける。この線引きさえできれば、無理なく時間を取り戻せます。いきなり全部を変える必要はありません。今いちばん面倒だと感じている作業を、まず一つ選んでみてください。そこが、御社の自動化の入り口になります。